1.初めてのディズニーシー
ところ先生は、写真家として数々の場所を訪れてきたが、特に東京ディズニーシーには一度も行ったことがなかった。 子どもたちの笑顔を撮るのが大好きで、エンターテイメントと福祉の融合を大切にしている彼にとって、この場所は「遅すぎた初体験」だった。
しかし、その日は運が良かった。朝から雨が降り続ける、予報では夕方まで止む気配はない。カメラを手にしながら、「まあ、雨なら雨の景色を撮ればいい」と、彼はポジティブに考え、パークの門をくぐった。



2. ラプンツェルの塔

最初先にあったのは、ラプンツェルの塔。 濡れた葉の隙間からやがて、紫色の屋根と暖かいみレンガの壁が、雨に濡れてしっとりと待っていた。 雫が窓枠をつたって落ちていく様子が幻想的で、ところ先生は思わずシャッターを切った。
「雨のおかげで、人が少ないし、いい雰囲気だな…」
塔の近くには、同じく雨の中を歩くカップルや、傘をさしてラプンツェルの世界を楽しむ人々がいた。 彼はそんな風景を一枚、丁寧に切り取っていた。
3. アラビアンコーストの幻想

次に訪れたのは、アラビアンコースト。 青いドームが雨に濡れて、まるで神秘的な魔法がかかったように待っていた。 水たまりに映るドームの姿を見て、「雨の日だからこそじっとる一枚だ」と感じ、夢中でシャッターを押した。
しかし、雨脚はますます強まり、傘を差していても服が履けるほどになった。
4. 雨宿りと出会い
アーケードには、同じように雨宿りをしている人たちがいた。 傘についた雨粒がぽつぽつと落ちる音と、遠くから聞こえるディズニーのBGM。
「確かに、雨の日にしか見えないディズニーがあるよな…」
5. ランタンの魔法

その後、ところ先生は『ラプンツェルのランタン』のアトラクションにたどり着いていた。 薄暗い空間に無数のランタンが真っ直ぐに上昇し、幻想的な光景が広がった。
雨のせいか、そこまでふらふらしてなかった。 ボートに乗ったラプンツェルとフリン・ライダーの姿をカメラに言いながら、彼はふと、自分の写真に込めたいものを考えた。
「思い出の写真、誰かの心に目を向けたら…」
ランタンの光が水面に映り、雨粒がその光を揺らす。その美しさを目にしたとき、彼は初めてのディズニーシーでの雨が、特別なものに思えた。
6. 雨の中の魔法
パークを歩いているうちに、ところ先生は「ディズニーは晴れの日だけじゃない」と確信した。 雨だからこそ生まれる風景、雨だからこそ心に残る出会い。 そこにこそ、彼が大切にする「エンターテイメントと福祉の融合」があった。

「また、来るといいね。次は晴れの日でも、雨の日でも」
彼はカメラをそっとしまって、その後東京ディズニーシーをした。
エピローグ
大雨のディズニーシーは、彼にとって「初めての体験」だけではなく、「写真家としての新たな視点」をもたらした旅だった。
「また雨の日に来てもいいな」
そう思いながら、どこ先生は次のシャッターチャンスを探した。

(終)
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